伝統工芸の現状を考える

職人 和のコラム

今回は、ちょっと伝統工芸の職人さんのことについて考えてみたいと思います。

職人さんが減っている

職人を囲む会に参加していて、毎回のように「これを作れる職人さんが減っている」というお話がでています。

職人さんが減っている、ということは、以前はもっと職人さんの数は多かったわけで、しかもそれで生計が成り立っていたということは、いかに普段からたくさんの人にその仕事が利用されていたかということだとは思うのです。

原因は、住宅に和の文化がどんどんなくなっている(床の間がない、障子がない)、大量生産で安いものの方が手に入りやすい、などなのでしょう。

職人さんたちが和の文化のない空間にも合うものを開発したり、同じく大量生産に近いことをして安くしていったり、逆に文化財に指定されて超高級路線を突き進んでいくといった「時代にあわせる」やり方で残っていくことはできますが、それにしても、普段から使ってくれる人達の比率が減れば数が減ってしまうのは仕方のないことではあります。

どうすればいい?

さらにいうと、職人を囲む会で講師ができるような職人さん、例えば表具師職人さんとか竹細工職人さんなど、いわゆる伝統工芸の最表にいる職人さんなら多少減ってもまだ需要はあるのです。

問題なのは、その職人さんたちを支えている職人さん。

表具師さんの場合は、その表具をしたてる際の道具を作れる職人さんがもういない、とか、裏に使う和紙を作れる職人さんがもういないとか。

ようするに、プロのための職人が激減しているのです。

どうすれば、職人さんが減らずにすむか。

むずかしいのですが、結局、多くの人が安物を選ばずに、きちんとした素性の良い商品を、丁寧に普段使いしていくようにならないとダメなのではないかなと私は思います。

伝統工芸だからとありがたがって1度だけ買ってみる、とかではダメ。

高い商品だからと大切にしまっておくとかでもダメ。

あくまで、普段使いをして、壊れかけても直しに出す、あるいは自分で直す、というような使い方をしていかないといけないと思います。

表具だったら、自分の子供の絵を表具してみる、とか。

茶道だったら、自分の記念日に茶室を予約し、自分の作った茶碗でみんなに茶を飲んでもらう、みたいな、伝統の普段使い

「そうのび」の目標

多くの方々が気軽に伝統工芸を作ってみる、普段使いをする、ことによって、伝統工芸市場を根本から活気づけるというのが「そうのび」の究極の目標です。

なんとか「そうのび」がそのお手伝いをできないかな、と模索中です。

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